【コラム】虫タイプの歴史
ペンドラーの記事書いてたら書きたくなったのでついでに。
書いてたら長くなったので分けました。本当に長い。
例の如く主観全開なのであまり真に受けてはいけない(戒め)
- 基本情報
- 赤・緑(第1世代)
- 金・銀(第2世代)
- ルビー・サファイア(第3世代)
- ダイヤモンド・パール(第4世代)
- ブラック・ホワイト(第5世代)
- X・Y(第6世代)
- サン・ムーン(第7世代)
- ソード・シールド(第8世代)
- 終わりに
基本情報
攻撃面
抜群:草、エスパー、悪
半減:炎、飛行、毒、格闘、ゴースト、鋼、フェアリー
防御面
半減:草、格闘、地面
抜群:炎、飛行、岩
攻撃面の半減が7つと全タイプ最多で通りが非常に悪い。
特に隆盛を極める飛行、ゴースト、フェアリーに全て半減されるのでもうなんかどうしようもない。
防御面は耐性が飛行タイプと丸被り。(地面が無効か半減かだけ)
弱点はメジャーなタイプだが耐性もメジャーなタイプなので悪くない。
そのため複合するとなかなか強力な耐性に変貌する。
最たるものは鋼複合で弱点1、耐性9となり非常に安定感があるものになる。
赤・緑(第1世代)
初登場(最終進化系のみ):スピアー、バタフリー、パラセクト、モルフォン、ストライク、カイロス
初代で最強を誇ったエスパータイプの弱点を唯一つけるのが虫技だった。
厳密にはゴーストもだが、固定ダメージのナイトヘッドと威力20の舌で舐めるしかなく、バグで無効化されていたので意味を成していなかった。
しかし肝心の虫技は
・スピアーの固有技、ダブルニードル(威力25×2)
・スピアーとサンダースが使えるミサイル針(威力14×2~5)
・ゴルバット、パラセクト、モルフォンが使える吸血(威力20)
と屁のツッパリにもならない貧弱さ。スピアーのミサイル針がワンチャンありそうに見えるがスピアー自体が毒複合のためサイコキネシスで返り討ちに合う。
←エスパータイプたちの感想
一番虫技を活用していたのがナッシー対策に搭載されていたサンダースのミサイル針である。ええ…
初代からして微妙な種族値が多く、まともな種族値をしているストライク、カイロスは虫技を覚えないのでエスパーキラー(笑)状態だった。
しかもバタフリー、モルフォンといった連中はエスパー技を扱い、宿敵に寝返ってるようなムーブをしていた。
もっとも草創期のこの世代は不遇タイプが多く、虫だけの問題ではなかった。
吹雪環境なのに氷弱点、攻撃技が固定ダメージの竜の怒りのみのドラゴンなんて最たるもので存在意義自体が怪しいレベルである。
まあ虫は弱キャラ、ドラゴンはレアキャラ、みたいな感じでメリハリをつけただけで、対戦バランスなんて微塵も考えていなかった(であろう)時代のものなのでしょうがない部分もある。そもそも相性がバグっているので開発が想定していたバランスとは言い難いし。
金・銀(第2世代)
初登場:アリアドス、レディアン、ツボツボ、フォレトス、ハッサム、ヘラクロス
第2世代でヘラクロス&ハッサムの登場、メガホーン追加で打点獲得(ヘラクロスのみ)エスパー無効、虫弱点の悪タイプ追加(虫半減の鋼も追加されたのでトントンだが・・・)とやや改善。
しかしエスパーキラーの役目は悪タイプに譲った。(元々キラーしてないけど)
目覚めるパワーが追加され一応威力70の虫技を使えるようになったが厳選難度は非常に高く、普通に遊ぶ分にはまず使えない技である。
フォレトスもいたが碌な技なく、活躍は難しかった。一応ミサイル針は使えたが仕事が出来るかというと怪しいもんである。まきびし撒いて爆ぜた方が強い。
ツボツボは防御方面に尖りまっくた種族値が印象的。尖りすぎてメガヤンマ登場まで虫タイプ最高種族値を保持していた(505)。ヘラクロスやハッサムは500。
ハッサムはアタッカーというより剣の舞や高速移動をバトンタッチするサポート採用が多かった。
よってまともにアタッカーとして動いていたのはヘラクロスのみである。
ヘラクロスは全国大会で気合のハチマキ発動からの起死回生で3タテを決め大逆転勝利を収めたことで有名である。
地味にハッサムも出ている
ルビー・サファイア(第3世代)
初登場:ドクケイル、アゲハント、テッカニン、ヌケニン、アメモース、バルビート、イルミーゼ、アーマルド
第3世代では強力な特性を持つテッカニン&ヌケニン、虫のくせに水&氷技を扱え、強特性威嚇をもつアメモース、優秀なタイプを持つアーマルドなど徐々に勢いを増す。
技は銀色の風が追加され技不足が少し改善。それでも威力60しかないため微妙だった。
シグナルビームも追加されたが覚えるポケモンが少なく、実質バルビート専用技になっていた。
特筆すべきはヌケニンで抜群以外は無効化するというチート特性をもつため、ハマればこいつ一体で完封勝ちできるほど。ただしHPは1で固定なので砂嵐で死亡。毒で死亡。サメ肌で死亡。まきびしで死亡と死因は意外と多い。どっかの吸血鬼か?
ダイヤモンド・パール(第4世代)
初登場:コロトック、ミノマダム、ガーメイル、ビークイン、メガヤンマ
第4世代では技に大幅なテコ入れが入る。虫のさざめき&シザークロスの追加で多くの虫ポケモンがメインウエポンを獲得した。アリアドス?知らんな。
特徴的なのが攻撃しながら交代できるとんぼ返り。サイクル戦においてかなり強力な技で幅広く採用されている。半減は多いが無効がないので交代失敗が起こらないのも長所。
ヤンヤンマの進化先にメガヤンマが追加され、高いとくこうに特性加速、そこから繰り出される催眠術で4世代初期は虫タイプ初のトップメタとして最前線に躍り出た。
しかしプラチナで眠りの仕様が弱体化し、中堅に落ち着いた。
代わりにバレットパンチを取得したハッサムが台頭し、虫タイプを引っ張て行く存在に。
ヘラクロスも持ち物に火炎玉が追加され根性を能動的に発動できるようになった。メガ
ホーンとインファイトの2本柱で徹底的にダメージを稼ぐ戦法が強力だった。
技や持ち物の追加で開花の時を見せ始めていた。
ブラック・ホワイト(第5世代)
そして第5世代、黄金期と言える虫の時代がやってきた。
この代に登場した虫ポケモンたちは今までの貧弱さはどこへやら、立派な強豪の一角として殴りこんできた。
半ばお約束だったスピアーやアリアドスなどといった、いわゆる『序盤虫』に当たるポジションのポケモンがおらず、全員高い種族値を持っていた。
今世代の虫ポケの最低合計種族値(最終進化系のみ)はデンチュラの472。これは前作の序盤虫、コロトックの384を大幅に上回る。そのデンチュラも素早さと特攻に多く振り分けた無駄のない配分になっているので貧弱とは言い難い。
今作に追加された虫ポケは8体。(ゲノセクト除)
高い種族値と強力な積み技、蝶の舞を引っ提げトップメタに躍り出た黄金世代の総大将、ウルガモス!
ハッサムと同じタイプを持ち、トリル下で高い制圧力を誇る破壊力ばつ牛ンの騎士、シュバルゴ!
メガホーンすごいですね
145というあもりにも過剰すぎる素早さから様々な補助技を繰り出し翻弄するきたない忍者、アギルダー!
鋼タイプ最速、はりきりで高火力を捻りだし、命中低下も爪研ぎでフォローするアイアント!
高い素早さ、複眼雷で数値以上の火力を繰り出し、優秀な耐性と範囲を併せ持つデンチュラ!
かわいいね❤
頑丈を盾に殻を破り、広範囲の攻撃技で制圧するイワパレス!
不遇タイプの組み合わせながら、葉緑素を仲間つくりして味方の素早さをブーストする晴れパの要、ハハコモリ!
S112からのメガホーンでトップメタのラティオスやサザンドラを上からワンパンし、がむしゃらや虫の知らせでカウンターを取ってくるペンドラー!
強い(確信)エース級のポケモンから縁の下の力持ちまで、錚々たるラインナップ。中でもウルガモスはハッサム共にトップメタを形成。
ウルガモス以下7体も中堅以上のポジションで対人戦でもよく虫タイプを見かけるようになった。特にダブルでは強豪のエスパー、草タイプ双方に有利が取れ、悪と違って高火力で殴れるため、いろいろな場面で顔を出すようになった。
これまでの鬱憤を晴らすかのような大侵攻で環境を制圧。虫弱点のポケモンはそれが無視できなくなるまで影響を与えた。バンギラスは場合によってはタンガの実を持たせて対策を施すくらい。
冬の時代を乗り越え強豪タイプまでのし上がったのである。
完
X・Y(第6世代)
5世代で大暴れしたドラゴンタイプへの制裁でドラゴン技を無効化するフェアリータイプが追加。同じく5世代で暴れていた格闘タイプにも耐性を持ち、なぜか悪にも有利が取れる。(イメージ先行かそれともバンギサザンへの制裁か)
それに加えて虫にも耐性を持ち、元々悪い攻撃の通りが更に悪化。
フェアリーの弱点がつける鋼&毒は相対的に強化されよく見かける存在に。
そして鋼も毒も虫を半減してくるので通りはさらにさらに悪化。
とどめと言わんばかりに飛行技を先制で打ち込んでくるファイアロー投入で冬の時代に逆戻りする羽目になった。
同じく飛行弱点組である格闘はメガガルーラ、ポリゴン2への高打点を持つのでまだ頑張れるレベル。草は豊富な補助技と優秀な耐性でまだまだ現役。キノガッサなんか飛行4倍なのに勢力を盛り返したくらいである。
虫にはこの2タイプのような強烈な強味を持たず、ウルガモスすらものの見事に駆逐され、表舞台から姿を消した。
苦労の末ようやくつかみ取った栄華の時代はわずか1世代で終焉を迎えたのである。
この世代で追加された虫タイプはビビヨンのみ。
6世代自体5世代の反動か追加ポケモンが少ないのだがとりわけ虫は少ない。
ビビヨン自体はバタフリーを強化したような能力でハメ性能が高く、強力なポケモンではある。
フェアリー追加前の5世代で暴れたのが運の尽き。哀れドラゴン格闘と共に制裁対象になってしまった。同じく巻き添えを食った悪のように鋼へ攻撃が等倍で通るといった是正措置もなく、そのまま転落していった。
飛行を等倍に抑え込め、テクニバレパンが強烈なハッサムが頑張っていた程度で他は良くて中堅、と言った具合であった。
サン・ムーン(第7世代)
7世代ではファイアローが弱体化したが、フェアリーがさらに隆盛を極め虫技の通りが非常に悪くなった。高火力技のメガホーンすら本領発揮できる場面が少なくなり、メインウエポンにもかかわらず不採用になるケースも見られるようになった。
しかしかながら吸血が威力80まで大幅上昇し、吸収技として一線級になったのは幸いか。攻撃と味方の回復を両立できる花粉団子や、殴りながら攻撃を確実に下げられるとびかかるなど技スペック自体は高いものが追加された。
技に引っ張られるようにこの世代の虫タイプは5世代に負けず劣らずの強豪ぞろいで逆風の中頑張っていた。
・フェアリー2位の素早さ123を誇るアブリボン
・虫タイプトップのとくこう145を誇る固定砲台、クワガノン
・同じく水複合で超強力な特性を持つオニシズクモ
・マッチョで可愛い虫タイプ初の準伝説、マッシブーン
・前のめりすぎる種族値を持つすらりとした美人のゴキ〇リ、フェローチェ
カプ34神が環境を制圧する中細々と抵抗を続けていた。
虫はフェアリーに弱点を突かれる存在ではないので攻撃面はともかく、防御面は問題なかった。なのでフェアリーの弱点を突ける毒や鋼複合は頑張れていた。追加効果が強力な虫技も増え、メインは張れないもののサポート力が増していった。
スペック自体は他タイプと遜色ないものの、技の通りの悪さは依然として横たわり、6世代よりマシとはいえ不遇の時代は脱せていなかった。
ソード・シールド(第8世代)
今作で追加された虫タイプは
・初のエスパー複合で虫唯一のトリル使い、イオルブ
・ウルガモスと同タイプでもらいびにより炎に完全耐性があるマルヤクデ
・特殊攻撃を全て半減するチート特性だが氷複合により弱点過多のモスノウ
と個性派揃い。悪くはないが7世代に比べるとパワーが落ちる形になり風穴を開ける存在とはいかなかった。
今作では新システム、ダイマックスが登場しこれが虫タイプに牙をむく。
タイプによって追加効果が変わるダイマックスだが飛行技が素早さ上昇というインチキ効果を引っ提げ殴りこんできたため、またまた6世代並みに格闘&虫が駆逐された。
攻撃やとくこうが上昇する格闘や毒は威力が抑えられている。相手の防御やとくぼうが下降するゴーストや悪は、威力の上昇は他と変わらないが、それぞれ攻撃技がゴーストが特殊、悪が物理メインとしており効果が嚙み合わないよう調整されている。(ミミッキュやサザンドラ等有効活用してくるポケモンもいるが)
にもかかわらず飛行は誰が使っても強い恩恵を受けられる上に、威力は他タイプと同じという破格の優遇を受けており、当然飛行技搭載率が上昇。飛び跳ねるや空を飛ぶといったクセのある攻撃技もダイマックス化すればチャージ時間なしで連射できるため、それ前提で採用するケースも増えた。燕返しのような低威力技も素早さを上げられるからという理由でアタッカーには好んで搭載された。
それによりあらゆるところから飛行技が飛んでくる事態になり、虫を始め飛行弱点のポケモンはおいそれと場に出れなくなった。相手に飛行タイプがいないのに釘付けにされるという訳の分からない事象が発生するようになったのである。
こいつ…『燕返し』を潜めているなッ…!!
対する虫技の追加効果と言えば相手のとくこうダウンと何とも言えない効果。悪くはないけど…
おまけに7世代から続く虫技の通りの悪さは改善されていないため、虫技の採用率が低く、追加効果自体を知らない人がいる始末。
防御もダメ攻撃もダメ、ついに存在意義が疑われる地位まで堕ちてしまった。
そんな中でも頑張っている虫タイプはいた。
フェローチェはトリプルアクセルを取得し、飛行勢などの氷弱点を滅多切り。飛行弱点も低すぎる防御力で逆に関係なし。逆にダイジェットでSを上げつつビーストブーストで攻撃を上げるといった芸当も可能。惜しいところは居座ってじっくり戦うダイマックスととんぼ返りで小回りを効かせる戦い方が微妙にミスマッチな所か。
モスノウもキョダイセンリツ獲得でトップメタに押しあがったラプラスを完封できるとあって一時注目された。
アイアントはダイマックスするとはりきりのデメリットを踏み倒せる点に注目され、パーティのエース格として活躍した。燕返しを没収され、素早さ上昇手段がなくなったのが惜しいところ。パッチルドンにはあるんだから寄こせよ。
訴訟も辞さない。
一度ダイマックス禁止ルールになったときはハッサムやウルガモスが環境に舞い戻った。ダイマックスがなければまだまだやれるポテンシャルはあるのである。
個人的にメガヤンマの欠席がもったいなく感じる。色眼鏡で虫の通りの悪さを踏み倒せるし、一致ダイジェットも使えるのでなかなかいい線行ったのではと思う。ダイワームで特防の低さもある程度補えるし。
終わりに
どうすんのこれ。ヨヨヨ…(悲しみに暮れる)
不遇の根幹はフェアリーの隆盛とダイジェット環境にある。
飛行はともかくフェアリーの虫半減は本当に意味が分からないのでせめて等倍にしてあげてください・・・
しかしながらタイプ統一パだと最強クラスに君臨するタイプである。
理由はざっと↓の様な感じ?
・各複合属性に精鋭がおり、サブタイプが偏りにくい。
・通りが悪い虫技を容赦なく切れるため、もう一方のタイプをメインに添えつつ範囲を広げやすい。
・複眼、氷の鱗粉、色眼鏡、水泡など、特性が強力なポケモンが比較的多く仕事をしやすい。
・よくも悪くも尖ったポケモンが多く、動かしやすい。
・ビジュアルの平均点が高く、見栄えがする。
パワーで押すよりはサポート力に秀でたタイプであり、花粉団子、怒りの粉、虫の抵抗、糸を吐くなどシングルよりダブルで本領発揮するポケモンが多い。
扱いが難しいが一芸に秀でた面白いポケモンが多いので使いごたえのあるタイプと言える。
あとハッサムが強いな。ずっと強い。